越中おわらの古風が染みついた家並み。
その軒下をすり抜けるようにして、胡弓の音がむせび泣いている。
男衆が唄う。
女衆が踊る、すげ傘に想いを隠すようにして。
過ぎゆく夏を追いかけるように、風の盆が街を進む。
それを物陰から、見つめる男と女・・・女と男・・・
それぞれ、影を重ねている。
彼らにとっての風の盆は、別離のプレリュード
女は悲しい時に瞳をとじる。
時雨がそっと、女の頬をつたう。
薄紅をひいた、小さな唇が何か呟いた。
それを胡弓に合わせた三線の甲高い音が、消してしまう。
忍びあう恋・風の盆。
風の盆が通り過ぎた街は、何事もなかったかのように秋の支度を始める。
気の早い、落ち葉時雨が窓をうつ。
越中のせっかちな秋風が招いた、風の盆・情話。
うつらうつらの中で、物語のプロットを考えていたが・・・
どうにも、面白く展開しそうもないので、即、ボツにした。
(なんだか急に涼しくなって、昨晩は寒いくらいだった。今週は東京でも花火の音や祭り囃しの音が聞こえてくる。もう、夏が終わる。今年は何もしなかったなぁ。
海育ちの夏男としては、納得できない秋の訪れではある。)