古い赤レンガ造りの倉庫・・・
鼻にしみる油っぽい潮風・・・
タグボートが出す低音のエンジン音・・・
港町・・・
倉庫の脇の道を歩いている。
アスファルトの上に、細かな砂利が積もっている道。
それを、ギシギシと踏みながら歩いている。
ボクの眼が、その砂利にズームインする。
細かな砂利の中に入って行く。
不思議な次元の穴のような・・・
たどり着いたそこは、横浜市立 東小学校の教室の中。
給食の時間だ。
アルマイトの食器に、脱脂粉乳のミルクが配られた。
あとは、コッペパンと鳥のシチュー・・・
「いっただきまーす」の合図。
ボクの右隣は、薬屋の女の子…
ボクは、手にしたスプーンで、なぜだか彼女の太ももを「ペシャッ」と叩いてみた。
彼女が、ボクを睨む・・・
ボクは、そのスプーンでシチューを飲む。
突然、口中に知らない香りが充満して、飲み込めない。
先生に怒られるから、また、その勇気もないから、吐き出さずに飲み込んだ。
この異様な香りはなんだろう・・・
シチューではない。
スプーンに染み込んだ香りだ。
薬屋の女の子の太ももの香りだ。
ボクが、初めて異性を感じた瞬間だった。
(これは、実話の夢だ。横浜の東小学校一年生。女の子は黄金町の角の薬屋の子だ。
彼女のスカートから覗いていた太ももに触れたスプーン・・・。あのエロスの香りが
今でも脳裏にあったことに驚く。)