ボクシングのリング上にいる。
スポットが眩しくて、観客席は見えない。
ボクの相手は、タイの世界フライ級チャンピオン、ポーン・キング・ピッチに似た奴だ。
右構えのオーソドックスでテクニシャンだと、ステップを見れば分かる。
左ジャブの使い方が上手い。
スピードもあるし、シャープだ。
ボクのウエイトはミドル級だから、パンチの重さはボクが勝る。
ポーンの左ジャブが、矢鱈にボクの顔面に当たる。
ピシピシ痛いパンチだが、効かない。
よし、好きなだけジャブを打たせて、隙を見つけて右クロスのカウンターから、必殺
左ストレートとまいりますか・・・
そうすりゃ、ポーンちゃんはぶっ倒れてゲームセット!
ボクは勝手に妄想している。
で、その時だった。
ポーンちゃんが、いきなり左フックを、ボクの脇腹に・・・
更に右のオーバーフックが、ボクのこめかみに・・・
ボクは、気持ちが良くなってしまった。
乙女の膝枕で、耳かきをしてもらっている。
でも、沢山の笑い声が聞こえる・・・
なぜ?
ボクは、突然気がついた・・・
ボクはリング上でダウンしていたのだ!
急いで立ち上がる。
カウントは8カウントだった。
助かった・・・
よーし、このー・・・
ぶっ倒してやるぜ!
世界チャンピオンになってやるぜ!
世界チャンプになったら、何をして遊ぼうかな・・・
ボクは、再び妄想の世界に入って行った。
(大きな客船で世界一周したり、アフリカのサバンナで猛獣と戯れたり・・・
日劇で歌のワンマンショーを開いたり・・・妄想はズンズン拡がって、再びリング上に戻ることはなかった(笑))