誰かが何処かで泣いている。
路傍の花も、古枝の小鳥も・・・
みんな何処かで泣いている。
いつも通る冷たい街角・・・
一陣の風に、ポスターが巻かれて飛んできた。
パステル色の派手なポスターに・・・
鮮やかな想い出がよみがえる。
「求む男子・至難の旅
わずかな報酬・荒天の長き日々
絶えざる危険・生命の保証はなし
成功の暁には、名誉と称賛を・・・
1900年 ロンドン」
その100年も前のポスターに、若者たちが群がっている。
資本主義や民主主義に挫折した人々が、何かを求めている。
そうなのだ。
一見よさそうな資本主義や民主主義は・・・
水平線のようなもので、その彼方の夢を想像させてくれる。
でも、そこに近づく事は出来るが、誰も到達は出来ない。
力なきものは、道半ばで振り落とされる。
いつか誰かと歩いた想い出のある街かど・・・
あの日と同じように風が舞っている。
今も、誰かが何処かで泣いている。
(冬の夜、夢も凍りついているようだ。なんともセンチメンタルなボクの柄でもない・・・。風に飛んできたポスターは、ボクの好きなもので、1900年にロンドンの新聞に掲載された広告、南極観測の隊員募集だ。イスラム国とは関係ない。)