ズームアウトでみる草原は美しい。
ボクの視線がズームアップしてゆく。
ほほ笑んでいたように見えた草花の表情が歪んできた。
そこは過酷な世界だった。
草花たちは、1ミリでも伸びて陽の光を奪い合っている。
土中の根は養分を奪い合ってアメーバのように蠢いている。
美しい野原なんて汚らしい戦場に過ぎない・・・
煌びやかな照明に、美しい女たちが妖艶なポーズを創りながら集まって来る。
ボクのリピドーがキラリと光る。
性的衝動こそ本能のエネルギーなのだ。
エロスを消失した人間にはなりたくない。
クリエーターの創作意欲の根源はエロスのエネルギーに他ならない。
煽情的な照明の中で裸婦たちが重なり合い、つまらない女になっていく。
どんな美しい色だって重なりあえばモノクロームになってしまう。
ボクのリピドーは萎えていった。
ボクは何処かで独りで眠っているであろう裸婦を求めて森の中に入って行く。
きっとクロヴィス・トゥルイユが描いたであろうような眠りの裸婦がいるような気がして・・・
(暫く飽きていた日記をまた書いてみようと思って描く。ボクの夢はエロスの世界である。夢の世界をリアルに表現できるのがシュールな作家だと思う。眠っている女にはエロスが自由に飛び交っている。それに気付く男は少ない。眠っている間こそ唯一の自由だと言うのに・・・。)