都会の春の大空に、二羽のカラスが舞っている
どんな鳥だって、想像力より高く飛ぶことはできない
人間の空想力は科学をも凌駕する
もう5年 まだ5年
みちのくに吹く春の風は冷たいだろうな
帰れない 帰らない
揺れ続ける心の声が街の谷にも流れてくる
愛は人間たちの間にある葛藤
それぞれが、それぞれの孤独を
理解することなんかできない
2562人
未だ不明な孤独な人々
人間の条件があるとすれば…
それは孤独から逃れられないことなのだ
死と言う不条理に対する典雅な抵抗
死の恐怖からの軽減
こんな刹那に想像力の夢はうそつき
まことしやかな絵を描き
心の安寧を仄めかす
あるような気がする、この不確かな怪しさ
醒めた理性で綴る言葉
遺伝子の中に潜む、先祖の記憶
自分の記憶ではない記憶
そんな映像が、鮮やかによみがえる
3・11の前の日…
(あの日のみちのく陸前高田は暑かった。山と積まれた街の人々の
生活の跡、破壊された自動車の残骸の山、荒れ果てた街には雑草が生い茂っていた。ボクは行く先々で言葉を詰まらせ、のみ込んだ。
そんな時にも、街の人々が瞬間見せてくれた笑顔が救いだった。
力を頂いたのは、ボクだったのだ、5年前のあの日…)