ぬばたまの夜が更けて行く・・・
何処で鳴らすのか、山寺の鐘が陰にこもって流れてくる・・・
木々の陰影は、漆黒の闇に溶け込む・・・
もう、何も見えない。
ボクは、ここで想像力の宇宙に漂うのだ。
白銀も黄金も玉も、なにせむにの世界なのだ。
なにものもいらない。
想像力は何も必要としない。
でも、失ってはならないものが、ひとつある。
理性だ。
想像力は理性と結びついて、はじめて芸術に昇華する・・・
誰かが、そんな事を言っていた。
理性こそ、芸術が生み出す驚異の源泉だと・・・。
たとえ、暗黒の世界でも理性を失ってはいけないのだ。
理性を眠らせると、妖怪が生れてくる。
理性なき想像力の世界は、妖怪だらけになる。
今の現実社会を見れば分かるだろう。
ボクは泡沫の夢の世界で、掌文を書いている夢から覚めた。
(確か、ゴヤに「理性が眠れば妖怪が生れる」と言う作品があったように思う。
ボクにも「妖怪ベンリー」と言う友達がいるが・・・。
人は誰にも、理性があるが、それを仕舞い込んで忘れている人が多い。
ボクもその一人だ。夢の中のボクが、それを教えてくれた。)