濁りが全くない蒼い天空・・・
眼下に広がるのは、新宮の街並み・・・
ここは、もしかしたら神倉神社・・・和歌山の・・・。
確かにボクは、御神体のゴトヒキ岩の上に立っている。
絶壁の上である。
ここまで来るのに、荒々しい588段の石段があった。
枯れ木の杖を持って、よじ登って来たのだ。
この磐倉の創建は1900年ほど前だと言う。
祭祀の場だったのだろう。
ボクは盤上で蒼天を見つめ、心の言葉を打ち遣る。
「あの時、あの一歩を踏み出していたら・・・」
誰もが時折、ふと想うことだ。
来た道を振り返り、我が人生、悔いあるも悔いなしと悟る。
ボクは誰よりも、大自然の豊かな子供時代を過ごしたことか・・・
温かな大人たちのお陰で、想像の大きな翼を持てたことか・・・
この想像の翼の大きさが、大人になった時の生き方を左右するのだ。
そして今、ボクは更に大きな想像の翼を得て、この盤倉から翔び立とうとしている。
人生の最終章は、ボクらしく派手に決めようぜ!
ボクは大きく、深呼吸した・・・。
(この後が、思い出せない。でも、いいや・・・ボクの事だ。きっと天空に翔びあがった筈だ。いつか再び夢で見ることだろう。This story is to be continued !)