倉庫が連なり、重油とドブ川の匂いがする・・・
錆びついたブイの鎖にカモメが数羽とまっている。
波止場だ。
なんだか、東映の極道の映画の舞台のようだと思っていたら・・・
ほんとうに極道たちがいた。
黒い義理服を着た集団である。
「おやっさん、言うとったるがのう、あんたはワシらが担いどる神輿やないの。
組がここまで大きうなるのに、誰が血ぃ流しとるんの。
神輿が勝手に歩ける、言うんなら歩いてみないや。のう!」
親分らしき男に向かって、若い渡世人が啖呵を切っている。
気がついたら、その若い渡世人はボク・・・いや、ワイやないか・・・
やばい、えらいこと言ってしまった。
親分…(友人のYさんに似ている)は、じっとワイの顔を睨みつけている。
若い衆はみな、固唾をのんでいる。
誰かが、唾を飲み込む音が聞こえる。
ことここに至っては、ボク…いやワイはもう他の言葉を選べない。
切羽詰まった激情が、最後の言葉を発した。
「おやっさん、あんたのような、つまらん連中が上に立つから、下の者が苦労するんや。どんだけ、無駄な血ぃ流したと思ってるん」
親分は、ワイを睨みつけていた眼を伏せ、その場を立ち去って行った。
音楽が欲しい。
このラストシーンの曲には「マックザナイフ」がいい。
義理服の若い衆たちが、ジーンズや綿パンに衣装替えして踊っている。
「ワイたちは、世間の外道や。」
「けど、外道もいなけりゃ悪い親父がはびこるんや」
「みなの衆、立派な外道になりなはれや」
なぜだか、ワイはギターを背負って波止場を去っていく。
なんじゃこりゃ・・・
小林 旭か・・・
と思ったら、目が覚めたのであった。
(ボクは本当に外道が好きで、数年前、年賀状に「外道」とだけ書いたことがある。
外道とは、本来は仏教以外の道を説く人の事を言う言葉だ。今の世の中、もっと外道がいてほしい。ジャーナリストなど本来は外道なのだが、なんだかねぇ・・・・)