空と海がある。
幾重にも連なったシルバーグレーの八重雲・・・
エメラルドブルーのビロードの海・・・
その狭間に、竜巻のように屹立しているのは・・・
美しいシルクスクリーンの肌を輝かせた裸婦・・・
八重雲が顔を隠し、曲線の波立つ海が下半身を隠している。
シュールな画家、ローラン・ブリジョーの「海の香り」・・・
そんな宇宙が、ボクの目の前にある。
ジャーナリズムは言う。
性の氾濫の時代だと・・・
でも、それはエロスの解放とは違う。
ソーシャル・ネットワークの時代は、リアル・リアル・リアル・・・
何でも誰でもリアルを求めている。
砂漠の旅人が小さなオアシスを求めるように・・・
これはトラジェディ…悲劇だ。
エロスは本来、抑圧したり解放したりするものではない。
いつでも、そこに在るものだ。
SNSの時代だからこそ、創造・想像・・・
いや、もっともっとイマジネーションの楽園に遊ぶ、幻想が必要なのだ。
エロスにリアリティはいらない。
エロスは幻想の宇宙なのだから・・・
スマホの中に、エロスを存在させるのは難しい。
ボクは独り、気を忘れるほどの甘い香りの海に入って行く。
(その後の夢のラストエンドが、思い出せない。だからいいのだろう。幻想の中にはリアリティが存在しない。ボクはSNSが大好きだ。だからこそ、そのアンチテーゼとして幻想のエロスを求めているのだろう)