大きな河の岸辺に裸で立ちつくしている
遥か彼方に雪を纏った富士山が見えるから大井川だろうか
轟々と水かさを増した流れは早い
ボクにはまだ向こう岸まで泳ぎ切れるエネルギーがあるだろうか
目を閉じて自問自答
そして飛び込んだ
鼻から入ってきた水で脳みそがぴりぴりする
しかし、ボクは抜き手のストロークをゆるめない
高校の頃から地元の海で人命救助員をやっていた
そのエネルギーは健在だ
ボクは自分の身体が、もうこれ以上動けない時になって、心の平和や安心はいらない
ボクは動けなくなるまでいつも、じっとしているなんてことが出来ないのだ
誰も寄せ付けず、爪も延ばし放題にしていた晩年の大富豪ハワード・ヒューズ
彼の生き方に興味はあるさ
想像的なむさ苦しさは、くだらない小奇麗さより遥かにいい
そんな勝手な生き方に徹したいけれど
独りじゃさびしいな
アメリカのスクリューコメディな男女の物語を演じて見たい
誰か奇想天外な相手はいないかなぁ
などと、妄想しながらまだ河の中を泳いでいる(笑)
(人生はルーズショットで見ると喜劇だけど、アップショトでは悲劇だ。なんて確かチャップリンが言っていたっけ。ボクは大アップショットな喜劇で人生のフィナーレとしたいな。)