夕闇を切り裂くように
谷間の道を鐘の音が通り過ぎて行く
誰が打つのか、山寺の鐘の音が美しい
凛とした重みの中に清々しさがある
音色に一転の濁りもない
鐘の音はこうありたいものだ
吊り鐘を撞木で打つと、鐘の内部では様々な音がぶつかり合う
反響と言う
その反響で創られた音が外に飛び出すと
一点の濁りもない清音になる
見事に修練された鐘の音色
近頃、町場には嫌な鐘の音も聞こえてくる
内部でぶつかり合うべき音が外に漏れてしまうのだ
音楽的には不協和音と言う
こんな駄鐘に限って、鐘の内部の音は静かなもんだ
音が反響しないのだ
反響させないのかもしれない
たったひとつの音の為に様々な音が消えて行く
濁り切った大きな音の為に
今日も街のあちこちから、嫌な鐘の音が聞こえてくるようだ
あの鐘を鳴らすのは、どなた?
(鐘の音って人間の組織に似ているね。独裁者の鐘は内部の音はひとつなのに、外には様々な音が飛び散っている。不協和音ってゲスな音が。これが今の日本を住みにくくしている。毎日、素敵な鐘の音が聞こえる国に戻したいね。)