河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

山椒魚の苦悩

老人が書斎の中を行きつ戻りつしながら

15年前のパーティの事を思い返していた

暗い秋の夜

老人は銀行家らしい

そうか、これは確かロシアの小説家

アントン・チェーホフの「賭け」の冒頭シーンだ

何かを悟ろうとして、悟りの境地に入れなかった老人

この老人を若者に置き換えてみよう

地方から都会へ出て来た青年たちが

思いかなわず、行き場のない怒りと挫折感に苛まれる

精神を解放しきれない状態

悟ろうにも何も掴めない状態

今、チェーホフが読まれ始めているのは

この辺りの社会的テーマの同一性なのかもしれない

青年は深いため息をもらし

あたかもひとつの決心がついたの如く呟いた

いよいよ出られないと言うならば、俺にも相当な考えがあるんだ

しかし…

彼には何一つとして、うまい考えがある訳ではなかった…

何だ…

この脱力感…

そうか、山椒大夫だ

井伏鱒二の「山椒大夫」のストーリーと一緒だ

山椒魚は悲しんだ

彼は彼の住み家である岩屋から外へ出てみようとしたのである

頭が出口につかえて外へ出られない

彼にとって永遠の住み家である岩屋は出入り口が狭かった

強いて出て行こうにも、彼の頭が大きすぎた

二年の間に身体だけが大きくなっていたのだ

その空虚な結果が彼を狼狽させ、かつ悲しませた

「なんたる失策であることか!」

巡る巡るよ、時代は巡る

いつでもどこでも人間の苦悩は同じなんだなぁ

(チェーホフの老人は最高刑は死刑か終身刑かで悩み抜いていた。

井伏鱒二の山椒魚は頭でっかちで苦しんでいた

現代の若者たちの苦悩は何なのだろう…

そんなことを漠然と考えていたら、こんな言葉綴りになった。)

 

 

隠れん坊と隠すん坊

こいぬがね

のはらで よちよち かくれんぼう

どんなに じょうずに かくれても

かわいい しっぽがみえてるよ

だんだん だあれが めっかった

 

なんて遊んでいるうちは楽しかった

逃げて隠れた奴を鬼が見つける

つまり悪い奴を国民が見つける遊びだ

この隠れん坊は20世紀までのお遊びだった

21世紀になると隠すん坊と言う遊びが流行り出した

つまり人間は隠れずに、悪さを隠すのだ

巧妙に、ばれないように…

しかし、この情報時代に隠し通せるものはない

そのハイライト、どでかい隠すん坊がパナマ文書ってやつだ

将に中米パナマから全世界に吹きまくる突風サイクロン

自分たちの利益だけの為に、こっそりやっていた

税金逃れ・資産隠しの隠すん坊

その46年間の機密文書が流失しちゃったから大変だ

世界中の政治家や経済人…富裕層の悪人たちが大慌てなのだ

ここしばらくのニュースネタには困らないから

報道関係者は大喜びに違いない(笑)

日本の関連する企業名や個人リストは5月頃公開される

でもね、この隠すん坊は大企業や国際的な政治家だけじゃないよ

一般社会にも蔓延して大流行りだ

ちっぽけな会社や団体、学校関係者にも流行ってる

みんなで隠してる

隠すために、わざわざ権力を振り回したり

秘密を知っている同胞まで首にしたりするから、すぐばれる

まぁ一番多いのが便宜供与ってやつだ

地位を利用して、こすっからく金品を貰うってやつだ

どうせ、ばれるのに

これも立派な犯罪だよ

まぁパナマ文書がパンドラの箱を開けてくれた

いよいよ隠すん坊の楽しい遊びの始まりだぁ

だんだん だあれが めっかるかなぁ(笑)

(悪事千里を走るとは、古来から言われている。悪事はどんなに

隠し通しても見つかるってことだ。ましてやインターネットの時代だ。どんな悪事もすべてばればれ…だよーん)

 

 

 

清貧の政治家を求む

「同じ石でつまずくのは、人間だけだ!」

ホセ・ムヒカ

参いりました!

恐れ入谷の鬼子母神です。

ボクも辛うじて言葉を生業にしている端っくれだけど

この言葉には、敵わない。

ウルグアイの80歳の男の名台詞

どんな脚本家にも書けはしないだろう

「今は、良心なき科学の時代」

これもよくぞ言ってくれました

これこそ政治家

心に響く言葉によって、人々は連帯感を深めあう

政治家の響く言葉を求め、楽しむのは

アメリカの大統領予備選挙も同じだ

日本の政治家は、響く言葉を持ち合わせていない

ウルグアイ大統領 ホセ・ムヒカ

彼に比べたら、日本の国会で、がやがや遊んでいる

与野党の議員なんて虫けらだ

干せ・虫か!なんちゃって(笑)

世界一貧しい大統領と言われてる彼の

唯一の個人資産は18万円のポンコツフォルクスワーゲン

歳費の殆どを寄付に回して公邸にも住まず暮らしている

なんだかとんでもない外遊を楽しんでいるらしい

東京都知事は、詰めの垢でも飲ませてもらったらどうよ

彼の政治力も凄い

同性婚とマリファナを世界で最初に合法化しちゃった

見た目は単なる爺さんだけど、中身が違う

若い頃の彼は、革命に燃え

テロリストとしてゲリラ組織に加入し、

13年間の投獄生活も経験した壮絶な人生を送っている

つまり言葉だけの人じゃないのだ

行動力の人だ

彼が日本から帰国する日まで、妙に政治家たちが静かだ

穴にでも潜りこんで隠れているのだろう

(久しぶりに、清貧という言葉が浮かんだ。これこそが政治家の

姿なのだ。ホセ・ムヒカは政治が金もうけの場ではないと言いきっている。日本にもそんな男がほしいねー、女でもいいよー)

 

満開の桜の嘘寒さ

「世の中に たえて桜の なかりせば

春の心は のどけからまし」

在原業平

伊勢物語の主人公とされ、昔から美男の代名詞とされる歌人

桜さえなければ春はどんなにいいだろうなぁと

思わせるものはなんなのだろう

古来より、はらはらと散る桜に

もののあわれを感じる人々がいた

桜は美しさを越えた存在で

花の奥に暗い闇があることを感じた人々もいた

桜は人々を不安にさせ、狂わせもする

花の下での人々の狂宴を見れば納得もする

満開の桜の嘘寒さ…

ボクもそれは感じる

束の間の生の絶頂と、忍びよる死の影

桜への日本人の美意識には独特なものがある

風に吹かれ、雨に打たれて散る桜には

理念を越えての潔さに

武士道の精神を見る

日本人の精神の基盤

それは無常感、諸行無情

奢れるものは久しからず

将に武士道

武士道の神髄は死に方にある

願わくば 花の下にて 春死なむ

(桜餅…古来は桜が散り切っての三日間に食うものだった。

花供養だったのだ。花が散り切った瞬間に青葉に変身する桜に違和感を覚えるのは、ボクだけだろうか…(笑))

 

 

 

 

詩人の恋の物語り

汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

悲しさを時に美しいと思う
透明感があるのだ
涙の結晶としてのイメージかな
中原中也の悲しみが汚れるほどの
魂の咆哮はなんだろう
彼は17歳にして年上の女優に恋をした
山口から上京して同棲していた
しかし、愛する女優は
親友小林秀雄の元へ去る
汚れっちまった悲しみとはこの事だ
中原中也のもうひとつの詩には

恋人よ
お前がやさしくしてくれるのに
私は強情だ
夕べもお前と別れてのち
酒を飲み、弱い人に毒づいた
今朝、目か覚めて
お前のやさしさを思いだしながら
私は私の汚らわしさを嘆いている

男の心情としては分かるな
ボクの生き方とは余りにも違うけれどね

汚れっちまった悲しみに
痛々しくも怖じ気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる

(中原中也の余りにも未熟というか早熟な恋物語り。彼は自由奔放に人生を駆け抜け30歳で逝ってしまった。だから時に胸に迫るものがあるんだな)

守りたいものはなんだ?

桜色の川筋の緑なす草に座る
遠く金色の菜の花畑を見つめて思う
ボクは一体、何を守りたいのかと
ふと、八木重吉の短い詩が浮かぶ

わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる

自分の間違いを認める時
何となく感じていても
それを断定するのは辛い
心にディフェンスの鎧を纏う
そんな時、八木重吉の琴の音が聞こえる
琴は彼の素朴な美しい言葉だ

わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった

二行目の、わたしの の後は大きく息を吸って吐く
すると、魔法のように心の中に
素直な気持ちが甦ってくる
詩人の言葉の力に感動する
ボクは今日も草に座して
宇宙を飲み込むほどに
大量の大気を吸い込み吐き出した

(八木重吉の手になると、言葉が琴の音に代わる。一枚の葉っぱも石ころも虫たちさえも。ボクは素直になれる最上の言葉装置を持っているのだ。)

吾輩は孤独である

中島みゆきの「ひとり上手」なんか口ずさみながら

風に誘われて春の野を独歩している

中島みゆきは「ひとりが好きな訳じゃない」と唄うが

ボクはひとりが好きだ

草むらに大王の如き黒猫が寝ている

漱石の吾輩は猫である…に登場する

傍若無人な脂ぎった肥満の黒猫

みんなの嫌われ者のことを

同盟敬遠主義の的!とは言い得て妙である

そんな人間も思い浮かべたが

今日は無視して前に進む

こんな孤独な逍遥のひと時を時間の無駄とは思わない

若い頃から無駄な時間が大好きだ

人間なんて、そう言う無駄な時間で形成されていくのだ

役に立つものばかりを追いかけても仕方がない

時を超えて何かを探す人生の旅路

創作とか学問は、そう言うものだと思う

時間の物差しの係数はいらない

ボクのひとり遊びは自己防衛であり何かへの抗議だ

自分が自分であるための孤独

孤独と仲良くなれると、すべてが自由になる

 

(孤独になると視野が視差になる。モノ見る目が二つになり物事が立体的に見えてくる。すると思わぬ名案の光が心に刺さる。

こんな一瞬の刹那が大好きだ。)