南西の風に叩かれた海・・・
その激しいエネルギーが巨大な波を造って押し寄せている。
幾重にも連なった大波には、サーフボードでは歯が立たない。
まず、パドリングで沖へ出られない。
こんな日は、地元のボクたちは板で作ったボディボードで挑戦する。
この板切れで、荒れ狂う波をくぐり抜け、沖に出る。
他所者が尻尾を巻いて逃げた海・・・
この時が、地元のボクたちのパラダイス・・・
小さい時から、この波で何度も溺れた。
巨大な波に海底に叩きつけられ、気が遠くなったことも数えきれない。
でも、波乗りはやめられない。
自分の思うようにならないものと付き合う・・・
自然と遊ぶと言うことは、そういうことなんだ。
自然は、ボクの思うようにはなってくれない。
その我儘な自然と遊ぶことが愉しいんだ。
ビーチボーイの哲学かもしれないな。
荒れ狂う海の中には、自由が見つからない。
でも、少しでも自由が欲しいんだ。
ビーチボーイの自由とは、巨大な波の中で技が使いこなせることだ。
一瞬でも、波を制御することだ。
自分の技を自在に使いこなすことなんだ。
子供の頃から、何回も何回もチャレンジして身体が覚えた技術なんだ。
いちいち、頭で考えなくても身体が確実に反応することなんだ。
ボクの思う自由って、こういう事だと思う。
鵠沼海岸も風が益々強くなってきた。
潮吹雪で江の島も見えない。
絶好の波乗り日和だぜ!
トキワもヨコもオケも居る。
いくぜー!幼友達四人組!
あくで、すげぇ、波だへっ!
(この夢の中のボクは、いったい何歳なのか・・・それが分からない。仲良しの幼馴染はシルエットだった。
でも、一番無謀な波乗りをしていたのは高校生の頃だったな。こんなふうに波の良い日には学校休んじゃったもんね(笑))