波にたゆたう小舟のように
心はいつも、ものの気配を探している
すると、おもむろに動き出すものがある
それにつれて、かすかな音が聞こえる
胸の動悸とシンクロするかすかな音
何処からともなく透明な香りが漂ってくる
エロスな極彩の微粒子
にび色の海は、いつもそっとボクの前にある
シュールな画家ローラン・ブリジョーの描きそうな海だ
大きな裸婦が支配する海だ
その海はエロスに満ちている
幻想的な未知の深淵にエロスの香り…
ホメロスがその叙事詩に綴ったオデッセイアも
日本書記に綴られるトヨタマヒメも
この幻想の海の中に息づく
本当の海の素晴らしさは、決して蒼くはない
にび色の海が好きだ
その海の深淵に向かう旅人になりたい
ボクの最後の希望
ボクを招くかすかな心音
エロスの香り
ボクを誘う海を見つめる
しかし、今はその時ではないようだ
海の色が蒼く青く輝きはじめてしまった
(寝入りばなに、夢か現か浮かび上がって来た幻影と幻想。最初の一枚絵に、ボクの想像と想像が色を重ねて行く。これもボクが大好きな独り遊び。眠りに就く…独りで遊ぶ。これがボクにとって一日の始まりなのかも知れないな)