暗闇の中からまた、あの音楽が流れて来た
♬ Mr lonely ♬
宇宙空間の風に洗われて星座が煌めく
ボクは無重力の雲まくらに漂いながら…
懐かしいあの頃へ流れて行く
大好きなシチュエーション
まなざしって大切だと思うな
ものが、どう見えているかだもの…
決して、どう見えるかではない
まなざしは詩的な想像力なんだ
絵画で言えば写生かな
花でも動物や風景でも、誰もが同じに見えている訳ではない
ひとりひとり、みんな違う
そうだよ、どう見えているか…なんだよ
豊かなものの価値を感じる力なんだよ
音楽、絵画、文楽、舞踊、美容…
大切なのは、美しさを感じる力なんだよね
どう見えているか…は個人の感覚を尊重することなんだ
ひとりひとりを大切にすることさ
どう見ているかは、冷酷な客観性に過ぎない
数学や科学や物理学のスキルを高めても、やがてアンドロイドに奪われる
美しさを感じる力は、アンドロイドにはない
人間だけの宝物さ
ボクの横をアンドロイドたちが、忙しげに無人走行の自動車で通り過ぎて行く
Bonvoyage… ボンボヤージュ…
ボクはゆっくりと、もうひと眠り…
(これからの人類社会は、美しさを感じる力がキーワードだと思う。
必ず、仕事社会はアンドロイドに奪われるだろう。今、人類は気付かぬ振りして浮かれているけれど…。その時、人間とアンドロイドを識別するのは、美しさを感じる力だ。
空の端づれを漂いながら、そんな夢を見つめていた。)