人間(じんかん)到る所に青山あり。
中国の格言を思い出しながら、考えている。
ボクの墓場は何処でもいい。
「おどんがぁ うっちんだら みちばちゃいけろ」
その辺の道端に穴を掘って、埋めてくれるだけでもいい・・・
いや、出来ることなら海に沈みたい。
深い海底で、静かに眠っていたい。
その場所も考えている。
ボクが育った相模の海がいい。
ボクは人生に目標は待たなかったし、これからもない。
毎日、生きることを楽しむ・・・これだけだ。
その毎日を積み重ねて来た。
もし、ボクに人生の希望、目標を問われたら、即刻答える。
「相模の闇の海底に入って行くこと・・・」
眠れぬ夜、雨の降る闇もある。
それが、人生の闇に重なって哀愁感に包まれる。
ボクは、こんな刹那が好きだ。
暗闇が好きだと言ってもいい。
暗闇こそ宇宙なのだから・・・
没することは、故郷の宇宙に還ること・・・
今、ボクはすばらしい闇に包まれている。
まぁ、それもいい・・
その時だ。
朧に霞んだ山の端に、小さな月が、そっと浮かんだ。
ボクは、その月あかりで眼が覚めた。
(北風の冬の夜は、なぜか人生を想う。北からの使者はいつも傷心を連れてくる。
ボクほどの、能天気なボジティブな奴でも、そう思うのだ。そんな事を考えながら眠りについたら、夢で続きを見ていたようだ。)